印刷では出力時に品質を左右するスクリーン線数があります。

印刷会社で使用されるスクリーン線数という単位 (LPI) は、出力装置がフィルムやプレートに画像などを露光(網点を発生さす)したときにできる網点の列の数のことです。一般的には1インチ(約2.5センチ)あたりのこの線(列)の数が多いほど、網点の密度が高くなり(数が多くなり)画像はなめらかに表現されます。印刷する用紙にはそれぞれ、色が付きにくい、インクがしみ込みやすいなどの特徴もあるため、最終印刷物が最適な仕上がりになるように、紙の種類に合った線数で出力してしています。

出力線数が少なくなるにつれて、網点が大きく、密度が少なくなります。

175線出力

175線出力

カタログ・パンフレット・雑誌など、印刷用紙の表面がツルツルした 通常のカラー印刷物は、この線数での出力が一般的です

133線出力

133線・85線出力

広報誌・機関誌・新聞広告など、表面のややザラついた比較的インキを吸いやすい用紙では、あまり網点密度が高いと画像が潰れてしまうなどの問題があるため、線数をあらくして出力します。

30線出力

30線出力

通常の出力ではありませんが、あえて網点の荒さを表現したいなど、特殊な効果を表現することもできます。

※おことわり※
上の写真はおおよそです。モニタでわかりやすいように掲載したもので、正確な線数のものではありません。

画像解像度(ppi)はスクリーン線数とともに、印刷物のできばえに大きく左右します。写真を印刷する場合、使用するインキの色ごとに色の要素を分けてデータ化する必要があり、これを分解・スキャンニングと言います。このスキャンニング時の色の情報量を解像度といいppiで表します。画像の情報量 は出力線数と密接な関係があり、これが不足すると出力結果で画像がぼやけた感じになって、印刷物の善し悪しに大きく影響してきます。適切な品質の印刷物を得るためには、目的に応じて相応の情報量を画像に持たすことが必要です。一般的な目安として、出力線数の2倍の数値の情報量が必要です。

印刷物の種類 出力線数 画像の情報量(ppi)
ポスター・カタログ・パンフレット・カラーの雑誌など 175線 350ppi
広報誌・報告書・チラシなど 133線・150線 270ppi・300ppi
新聞広告・特殊紙印刷など 85線・100線 170ppi・200ppi

以上は一般的な例ですが、スキャンニング済みの画像データを印刷会社に入稿される場合には印刷目的に合った品質を得るために、この画像の解像度は大変重要です。ただ画像の情報量を多くすればするほど印刷品質が良くなるとはかぎりません。画像の情報量は多くなればなるほど重たくなり、データ作成や管理が大変になります。出力線数に必要な情報量以上の情報があっても出力装置が必要としないため、品質向上につながらないばかりか、余分な量のデータ処理のため出力に長い時間がかかります。また、イラストレーターなどのレイアウトソフトなどで画像を2倍に拡大すると情報量が二分の一に落ちてしまいますので、注意が必要です。